2022年9月号 Vol.64 エリザベス女王追悼号

女王という言葉は、まさに女王陛下 の為に作られたようです。エリザベス 二世は、歴史に残るべきこの日に備え、 17-18世紀風に完全に装飾しなおされ た王室船スピリット・オプ・チャートウェル 号に乗船なさり、テムズ河を航行なさい ました。 ゴールドの天蓋の下には、赤いビロ ード張りの肘掛け椅子が女王の為に 用意されていました。しかし、女王は 一瞬たりとも、そこへお掛けになろうと はなさいませんでした。女王の傍らに はエディンバラ公、ウェールズ公コーン ウォール公爵夫人、ケンプリッジ公ご夫 妻、そしてハリー王子。そして王女の お乗りになった船の廻りには、世界中 から集まった千艘以上の様々な船が エスコートを勤めました。バターシーブ リッジからタワープリッジまでの11キロ の水上パレードはまるでバレエの振り 付けを見るようです。沿岸にはその模 様を一目見ようと何時間も前から人々 が重なりあう様に待ち受けました。スペ クタクルの模様は75分全行程の至る 所で見る事ができました。艦隊に乗り 込んだ2万人全員が旗を空高く掲げて います。それは目も眩むような光景でし た。そして同様の風景がこの歴史的 な4日間の祝典を通して至る所で繰り 広げられたのです。 道路は車両通行禁止の措置がなさ れ、50万人以上の観光客が、記念行 事に参加し、«ページェン卜»水上パレ ードを見るために、ロンドンの駅の構内 に溢れました。テムズ河の両岸とも見 物の場所を見つけるのは至難の業、 開始の何時間も前からビールとサンドイ ッチを用意して場所を確保します。移 動方法は歩きか地下鉄のみ。その地 下鉄も主要な駅は閉鎖されています。人 だかり恐怖症にはつらいこの6月3日は、 朝から道路、歩道に陽気な人々が歌 いながらそぞろ歩く姿が沢山見られま した。その理由は、水上パレードの前 にイギリス、そしてコマンウェルスの400 万以上にも及ぶ人々が、ロンドンを始め として全国各地で行われる路上パーテ ィー、«ビッグ・ジュビリー・ランチ» に参 加したからなのです。このピクニック・イ ベントの規模は想像もできないくらい大 きなもので、各土地のコミュニティー、 組合、ボランティア、一般市民達が何ヶ 月もかけてその準備をして来たもので した。ロンドンで最も大きな«ビッグ・ジュ ビリー・ランチ»は、ピカデリーで行われ ました。(王家のピクニックをお読み下 さい)ロンドン市内には、50もの巨大ス クリーンが、あちこちに配置され、水上 パレードの校様を誰もがベストなコンデ ィションで見物出来る様に配置されまし た。とうとう、待ちに待った水上パレー ドの始まりです。午後2時少し前に、空 軍大尉の制服に青のガーター・サッシ ュを掛けたケンプリッジ公とアレクサン ダー・マックイーンの深紅のドレス姿の 美しいケンブリッジ公爵夫人が、アルバ ート・ブリッジのカドガン・ピアーに到着。 騎兵連隊の市服姿のハリー王子と共 にピリット・オプ・チャートウェル号に乗船 します。追って、悔軍の軍服姿のウェ ールズ公、エレガントなアイヴォリーカラ ーのスーツに身を包んだコーンウォール 公爵夫人が合流しました。午後2時11 分に、エリザベス2世とエディンバラ公 がお姿を表しました。女王は、アンジェ ラ・ケリーが仕立てた金、銀、象牙のビ ーズ、そしてスワロフスキーのクリスタ ルで刺繍を施した白いシルクとオーガン ジーの、ワンピースとコートをお召しにな っていました。 ジュビリー 特集 ロイヤル・パージはエレガントな装いで一杯で一杯。ア ンジェラ・ケリー作の衣装をお召しの女王、アイヴォリ ーカラーのスーツ姿のカミラ夫人、アレクサンダー・マ ックイーンのドレスとシルヴィア・フレッチャーの帽子 姿のキャサリン夫人。空軍大尉の制服を着たウイリア ム王子、ハリー王子は騎兵連隊の軍服姿で出席です。 87 86

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