世界の王侯貴族の中でも、ひと際 注目を集めているイギリス王室です が、常に話題に事欠くことなく、数々 の問題に直面してきました。歴代国 王最長在位の女王エリザベスⅡ世の 人生は、イギリス王国の波乱に満ち た問題尽くめの歴史と共に歩んでこ られました。そのような中でも意欲 的にご公務に邁進されているお姿は、 驚きと尊敬の念を持たずにはいられ ません。過去を遡ってゆきますと英 国王エドワード8世が米国のシンプ ソン夫人との恋を成就するため1936 年末に退位し、弟が国王ジョージ6 世となり長女のエリザベスに次期女 王の運命が巡ってきました。第2次 大戦中、ナチス・ドイツのロンドン 大空襲が始まると英首相は国王にカ ナダ疎開を勧告。国王は拒み一家は 英国内に留まり、14歳のエリザベス はラジオを通し可憐な声で国民を鼓 舞しました。1952年、国王の死去に 伴い25歳で女王に戴冠。2世紀を跨 ぐ女王の時代で最も悲しい思い出は、 長男チャールズ皇太子がダイアナ妃 と離婚。その後のダイアナ妃が 1997年、交通事故で悲劇的な最 期を迎えたことでした。12歳のハリ ー王子、15歳のウィリアム王子が健 気に母の棺に従う姿に、全国民が涙 を誘われました。奇しくもエリザベ ス女王夫妻の結婚50周年の年でし た。当時は、女王エリザベスⅡ世の 対応に王室批判が高まり、ダイアナ 元妃の死が王制を弱体化させている とまで言われました。しかしながら 政治的中立を貫くエリザベス女王の 姿勢には、君主としての凛としたも のがあります。その後、成人となっ たウィリアム王子は学友のキャサリ ンと結婚、父のチャールズ皇太子も カミラ夫人と再婚。また、女王の最 愛の孫といわれたヘンリー王子は「世 界で最も待望される独身男性」とマ スコミに呼ばれ、英国軍士官として アフガニスタンに赴くと、危険度の 高いヘリコプターの作戦任務につく 姿がさかんに報道されました。しか し、何かとスキャンダルな話題も多 く女王は内心ハラハラされていまし た。しかし、ヘンリー王子の奔放な ライフスタイルに一切口出しは控え ていました。2018年ヘンリー王子の 結婚、女王はやっと心の荷がおりた と安堵したところでした。2019年の クリスマスのスピーチでは、「道の りはいつもスムーズではなく、今年 は非常にでこぼこだと感じる時もあ ったでしょう」と語りました。2019 年7月イギリスは、EU離脱強硬派で あるボリス・ジョンソンが首相となり、 さらに12月中旬に行なわれた総選挙 でジョンソン氏率いる保守党が圧勝 したことを受けて、イギリスEU離 脱が決定的となりました。英国が EUからの離脱を選択したのは、い まから約6年半前の2016年6月23日の 「国民投票」で示され、EUの主要メ ンバーである英国が離脱を選択した ことは、世界に大きな衝撃を与えま した。そして、エリザベス女王の第3 子であるアンドリュー王子に、性的 搾取を目的とする未成年者の人身取 引を行なっていた大富豪の故ジェフ リー・エプスタインとの交流があり、 2001年に当時17歳だった女性と性的 関係を持ったという疑惑が浮上しま した。その後に応じた英BBCのイ ンタビューでは、その態度が問題と なり、個人公務を控える事態となり ました。そして、この問題で女王エ リザベスⅡ世の「引退説」も囁かれ ました。しかし、何といっても一番 の女王の頭を悩ませたのは、ヘンリ ー王子の事だったでしょう。結婚生 活から2年目を終えたヘンリー王子 夫妻、メーガン妃はヘンリー王子よ り年上、離婚歴のある女優でチャー ミングな米国女性。マスコミは英王 室に初の黒人の混血女性登場と大騒 ぎしました。マスコミのフィーバー は高まるばかりで、そしてアーチー の誕生で人気は最高潮に。英メディ アをプライバシー侵害や人種偏見で 訴えたことなど、マスコミとの軋轢 が生じました。 波瀾万丈のイギリス王室! 9 8
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