に少なくとも5つ受け取られています。 皆さんも大体の予想がこれでつくので はないでしょうか? ヒュー・ロバー ツ著のこの本は、私達が知りたいと思 っていたエリザベス2世の豪華な宝飾 品への殆どの疑問を解いてくれます。 例えば、一世紀ほど前から戴冠式の時 に、英国王の妻達はいったい何のプレ ゼントを贈られるかご存知ですか? エドワード王、ジョージ王を始めとし て、王達は妻に、大粒のダイアモンド の連なるネックレスをプレゼントする しきたりになっているのです。エリザ ベス王太妃は娘エリザベス2世の戴冠 式に、ご自分の戴冠式ネックレスであ る、アレクサンドラ女王遺産のネック レスをつけてご出席になりました。こ のネックレスは更に昔、アレクサンド ラ女王がテック公爵夫人から受け継い だものなのです。代々受け継がれてい くうちに現女王の祖母であるメアリー 女王は8つのダイアモンドのネックレ スを所持するようになり、幾つかを同 時に身につけられる事もあったそうで す。そのダイアモンドの中でも最も古 いものは、ジョージ3世の時代のもの。 マッド・オブ・キングと呼ばれ、ウィ ンザー城での隠遁生活の後に亡くなら れた王です。彼の妻シャーロット王妃 のダイヤの幾つかはブローチ、そして ロシア風王冠として現女王へと受け継 がれています。その他のダイヤは、ヴ ィクトリア女王が公式贈答品として受 け取られ、御戴冠中にお持ちになって いたもので、トルコのスルターンから の贈り物である有名なブローチがその 一つですが、エリザベス2世はこのブ ローチの“少し軽くしたバージョン” しかお使いになっていません。という のも、エリザベス2世は母、祖母、曾祖 母とは対照的にシンプルな宝飾を好ま れるからなのです。ダイアモンドのネ ックレスは一回に一連だけ。一度しか お使いになった事の無い宝石もありま す。例えばメアリー女王の胴衣の前に 付けられていたブローチ。この大きな ブローチは3連になっており、ピンで 一つずつ取り付けて行くほど大きなも のなのです。反対に、女王が肌身離さ ず身につけていらっしゃるのは婚約指 輪で、一番愛着を持たれている宝石と 言えるでしょう。この指輪がどのよう にして作られたかは、本に解説されて います。また、私達が無くなったか、 ダイアモンドの王冠を女王がお 持ちかご存知ですか? 答え はここに書きません。貴女ご自 身で、ロイヤル・コレクション が出版したエリザベス2世のダ イアモンドの歴史の新書の中か らご自分で答えを見つける折角 の喜びを取り上げてしまいたく ありませんから。でも、少しだ けヒントです。1947年のご結婚 の際に贈られた2つひとつは祖 母であるメアリー王妃から、も うひとつはハイデラバードのニ ザームから。1953年に、メアリ ー王妃が亡くなられた時に2つ、 2002年お母様を亡くされた時 貴女は幾つの エリザベスⅡ世の ダイアモンド 他の形に姿を変えてしまったかと思っていた古い 宝石が、実は宮殿の金庫の中に何十年もの間眠っ ていた事がこの本には紹介されており、皆さんも 驚かされる事でしょう。メアリー女王の愛のトロ フィーであるチョーカーも、その中の一つです。 エリザベス2世はこのネックレスを1953年に受け 継がれましたが、好みに合わない、と一度もお使 いになった事がありませんでした。このチョーカ ーをケンブリッジ公爵夫人がお付けになったらぴ ったりだろうな、と想像してうっとりしてしまい ます。ケイトにはメアリー女王のマチネーのダイ ヤのネックレスもきっとお似合いでしょう。この ネックレスは1920年代に作られたもので、ウラジ ーミル大公妃の子孫からメアリー女王が買 い取られた連なるダイアモンド(また一 つ!)のネックレスの石を使ってます。60 年間、このネックレスはまったく人目に触 れる事がありませんでしたが、この本に掲 載された写真で、他80点を超える秘蔵宝石 の写真と共にご覧頂く事ができます。この著作(そ して夏の展覧会)は、女王の豪華なダイアモンド のコレクションだけに焦点を当てて作られたもの。 それは世界でも他に類を見ないものです。しかし 当書では、女王のルビー、エメ ラルド、サファイアの数多いコ レクションは何一つ紹介してい ません。もしかすると、同じシ リーズの第2巻、そして2つめの 展覧会が将来見られるかもしれ ません…。 60 61
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