2020年1月号 Vol.35 即位礼正殿の儀

SPECIAL INTERVIEW 岡田美術館副館長 岡田幸子 × 前田真利 岡田美術館 Text=前田真利 Mari Maeda Photos=Hiro HASEGAWA 前田 11月号では、岡田美術館館長、 小林館長にインタビューをさせて頂 きました。大変な反響がありまして、 引き続き岡田副館長にインタビュー をご依頼させて頂きました。さっそ くですが、美術館を設立しようと思 われたきっかけを教えて頂けますか。 設立に至る時のエピソードなど教え てください。 岡田 尾形光琳「雪 せっ 松しょう 群 ぐん 禽 きん 図 ず 屏風」 との出会いをきっかけに、本物の芸 術品がもつ力に圧倒され、美術品蒐 集に力を入れ始めました。次第に点 数を増やしてゆく過程で、これらの 貴重な文化財を大切に保存し、多く の人々に鑑賞していただける施設を どうしても造らねばならないとの思 いが強まりまして、美術館建設のプ ロジェクトをスタートさせました。 前田 そうでしたか。箱根にある美 術館ということで、箱根の良さをど のようなこだわりをもたれて建設に あたられましたか。 岡田 美術館を建てるにあたり、緑 と水が敷地内にある場所を求めてい ました。それは、美術館の作品だけ でなく、当館収蔵の作品と日本の四 季との調和も感じていただきたいと いう思いからでした。そんな思いと 箱根という土地は重なり、自然と一 体となった美術館を建てることにな りました。 庭園は滝と鯉が回遊する池など日 本の伝統的なつくりにこだわり、庭 園のほとりに位置する飲食施設・開 化亭も昭和初期の建材を使っていま す。たとえば、現代では再現不可能 な歪みのあるガラスをそのまま利用 するなど、活かせるものは活かし、 趣ある空間づくりを心掛けました。 前田 本当に素晴らしい空間ですよ ね。都心からも近いですし、四季折々 の風景を楽しみつつ癒しのスポット となっていますね。 岡田 日本の作品は、四季や行事、 日常の様子などの文化、風俗が表さ P●INT DE VUE JAPON 71 P●INT DE VUE JAPON 70

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