2020年1月号 Vol.35 即位礼正殿の儀

世界の王室 即位の儀礼 戴冠式(たいかんしき、 coronation)、即位式は、君主制の国 家で、国王・皇帝が即位の後、公式に 王冠・帝冠を聖職者等から受け、王 位・帝位への就任を宣明する儀式で す。日本では、即位の礼(即位礼正殿 の儀)がこれに相当されています。 非キリスト教国でも、タイ、ブルネイ、 マレーシアの東南アジア諸国や、中 近東の君主制国家では、戴冠式やそ れに類似した即位式が行われていま す。戴冠式は、高僧や神官、高位貴族 が、新君主に王冠・帝冠をかぶせる ことにより行われ先代君主が存命中 に、先代君主自身の手により行うこ ともあります。しかし、全ての君主 制の国に王冠・帝冠が存在するわけ ではありません。古くは、アケメネ ス朝ペルシア帝国(紀元前550‒紀元 前330年)で、ゾロアスター教の大司 教が皇帝に戴冠したとされています。 キリスト教国では、高僧が新君主の 頭に聖油を注ぎ、神への奉仕を誓わ せる儀式が主体となるため、イギリ スでは聖別(consecration)フランス では成聖式(sacre あるいは sacre de roi)といわれました。 ヨーロッパ大陸では、カール大帝 が西ローマ帝国(神聖ローマ帝国)を 再興して、ローマ教皇から帝冠を受 けた西暦800年から、皇帝フリード リヒ3世がローマに赴いてローマ教 皇から帝冠を受けた1440年まで、聖 油を注ぐ慣習が行われていました。 アングロ・サクソンの年代記には、 デーン人の大軍を破ってイングラン ドを死守したアルフレッド大王が、 872年に聖油を頭に受け、即位しま した。1066年には、ハロルド2世がロ ンドンのウェストミンスター寺院で の戴冠式では、12世紀までローマ教 皇ら王冠を受けました。1189年のリ チャード1世のとき、イギリスの戴 冠式の様式が確立しました。カトリ ック国では、国王・皇帝のほか、ロー マ教皇が即位する際にも戴冠式が行 われました。 P●INT DE VUE JAPON 33 P●INT DE VUE JAPON 32

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