2017年5月号 Vol.22 Diana 永遠のダイアナ

ポアン・ド・ヴュ・ジャポン JAPON ダイアナ妃の一生 世紀のシンデラ物語の主人公とも言われ、また波瀾万丈の人生を、急ぎ 足で駆け抜けて逝ってしまった、悲劇の主人公とも言える、ダイアナ妃の 生涯は、幸せだったのかそれとも不幸だったのか、その最期が余りにも壮 絶な出来事だっただけに、私達は、ただ言葉を失い、呆然と立ち竦むのみ でありました…。 思えば7歳の時に、愛する母親が突然自分を置き去りにして、愛人と出 て行ってしまった、遠く幼い日の残酷な母の記憶が、何時もダイアナ妃の 脳裏を過 よ ぎったのではと想像するだけで、母親に裏切られ、信じきってい た夫の背信にもあい、どれほど1人で、あの広いバッキンガム宮殿で悲嘆 に暮れたことか…。 そんなダイアナ妃をいつも近くで見ていた、ダイアナ妃の執事ポール・ バレルが、ダイアナ妃の死後、葬儀の前日に、ダイアナ妃の遺体の側 そば で、「自 分は妻も子供たちもいるけれど、ダイアナ妃の遺体の睫毛が遺体安置所に 置かれた扇風機の風があたるたびに、微かに睫毛が揺れ、生前のダイアナ 妃のことが思い出され、それを見ている内に、何もかも捨て、もう、ダイ アナ妃と、このまま一緒に死んでしまいたいと思った」と言う告白の一言は、 誰にもわからないダイアナ妃の、深く傷ついた生涯の哀しみの深さを、一 番近いところで支えていた同志の想いとして、その優しさに胸を締め付け られる思いがします。 幸せだったのか、それとも不幸だったのか、人の生涯、他人には計り知 れないものだとしても、何時も彼女の近くにいた執事が、何もかも忘れて、 ダイアナ妃と一緒に死んでもいいとまで思いつめた、ダイアナ妃への、思 慕と敬愛の情を抱かせた彼女の人生は、ある意味で幸せな人生だったと、 言えるのではないだろうか…。 ダイアナ妃の死後、執事ポール・バレルはバッキンガムを去り地方に移り、 小さな花屋を営み、静かにダイアナ妃を偲び、ひっそりと暮らしている…。 POINT DE VUE JAPON 編集部

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