2017年5月号 Vol.22 Diana 永遠のダイアナ

離れてしまっ た 二人… チャールズは自然をこよなく愛し、野外活動 が好きでした。バルモラル城周辺の広大なスコ ットランドの自然のなかで、狩りや釣りをする ことが心の支えだったのです。ダイアナをバル モラルに招待したとき、「私、ここが大好きだ わ。」と言ったことが、チャールズの心を動かし、 結婚を決めるにあたった大きな要因でした。で もそれはその時、チャールズに合わせただけの 言葉だったのです。 実際はダイアナは都会派で、自然の中で楽し むという習慣は全くありませんでした。ロンド ンのような都会の生活こそ彼女が求めるものだ ったのです。 ロンドンのお洒落な通りでファッションを先 取りし、それを着こなすことに何よりも快感を 覚える、ダイアナはそんな若い女性だったので す。おまけにダイアナはチャールズの趣味だっ た狩りや釣りが大嫌いでした。 好みのスポーツにしてもチャールズはポロ、 ダイアナは水泳、テニス、エアロビクスとまる で違っています。音楽についても好みは全く違 いました。チャールズはクラシック、ダイアナ はジャズ、もしくはロックやポップスミュージ ックが好きでした。 また、チャールズは古典をはじめとする本を よく手にしていましたが、ダイアナが読書して いるところを見た人は誰もいません。 趣味や生活態度がどんなに違っていても、互 いが合わせようとする努力をすることによって 円満な夫婦関係を作れることはいくらでもあり ます。しかし、どちらも自分の言い分を主張す るだけで、相手に合わせようという姿勢も度量 も持ち合わせていなかったのです。 チャールズはもともと皇太子という世界で一 番モテる男であった以上、自分を変えてまで妻 に尽くそうという積極的な意思は持ち合わせて いませんでした。 ダイアナも、何故自分に目を向けないのかと 夫を非難する態度に終始し、自分の身勝手なわ がままには気が付かなかったのです。 ダイアナは当時友人にこぼしていました。 「誰も私の気持ちを気にかけないの。私がど のくらい寂しく孤独でみじめか。彼らにはどう でもいいことなのよ。彼らは私なんていらない と思っているのだわ。私が生涯の任務を終えた からよ。二人の跡継ぎを生んだから」 二人の関係が悪化し、チャールズに愛人がい るとダイアナが確信したとき、今度は彼女自身 が不倫に走るようになってしまいました。 皇太子とダイアナ妃の仲は、日増し険悪 の度を深め、皇太子の執事スティーヴァン・ バリーの証言によると、ある時ダイアナ妃 が体調を崩し気分が悪くなったと訴えると、 皇太子は、医者を呼びなさい、それまで横に なっていればと、素っ気なく言ったのを聞 いたダイアナ妃は、凄い剣幕で怒り、激しく ドアを閉めて出て行ってしまう。残された 皇太子は、困惑下表情で、為すすべもなく、 ぼんやり佇んでいた。広い部屋でこんな不 仲の光景は、再三見られたと語っている。 現実は、想像以上に、皇太子とダイアナ 妃の仲は、もはや修復不可能なところに迄 きてしまっていたのでしょう。 それにつけても、こんな激しい夫婦喧嘩 のとばっちりで、当時のお二人の使用人、 皇太子の秘書エドワード・アディーン、ス ティーヴァン・バリー、ダイアナ妃の秘書 オリバー・エヴェレッド、アラン・フィッシ ヤー、大切な乳母のバーバラ・バーンズ、最 後には、身辺警護のポール・オフィサー、ジ ョン・マクリーンも、立て続けに辞めてい く始末、その激しさは尋常ではなかったこ とが、窺えます。 P●INT DE VUE JAPON P●INT DE VUE JAPON 64 65 Diana 永遠のダイアナ

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